75歳以上の後期高齢者が要介護状態となる前の段階として、フレイルと呼ばれる状態になることがあります。
フレイルは予防や対策が可能であり、フレイル状態に陥ったとしても、早期発見と適切な支援により、健康な状態に戻ることができるとされています。
この記事では、フレイルとは何か、原因や症状、予防や対策の方法について分かりやすく解説します。
【目次】
フレイルとは
フレイルとは、医療英語である「frailty(フレイルティー)」を語源とした言葉で、生理的予備能が下がり、健康な状態と日常生活でのサポートを必要とする要介護との中間状態(要介護状態に至る前段階)を指します。
例えば、介護は必要としないけれど、足腰の筋力が衰え、杖を使用しなければ歩けない状態や、認知機能の低下などが当てはまります。
多くの高齢者はフレイルを経て要介護状態に進むと考えられており、年齢を重ねるにつれてフレイルになる人は増加していきます。
しかし、身体機能の低下だけではなく、心理機能の低下や社会とのつながりの低下なども関与しており、若年者でも一定の割合でフレイルになることが分かってきています。
フレイルは、生活習慣の見直しや適切な対策をとることで改善することができ、健康な状態に戻れる可能性があるとされています。
フレイルの原因は?
健康な状態から要介護状態に至る前段階として位置づけられているフレイルは、加齢に伴う「身体的要素」「精神的要素」「社会的要素」など、さまざまな要因によって生じると言われています。
まずは、フレイルになる原因として、具体例を紹介します。
身体的要素
フレイルの原因とされる身体的要素は、骨や関節、筋肉などの運動機能に関する器官の衰えによって日常生活に支障をきたす「ロコモティブシンドローム」や、加齢に伴って筋肉量が減少する「サルコペニア」などが代表的です。
ほかにも、以下のようなことが挙げられます。
- ・筋力の低下(サルコペニア)
- ・運動器障害(ロコモティブシンドローム)
- ・骨粗しょう症
- ・歩行スピードの低下
- ・運動量の低下
- ・口腔機能の低下
- ・低栄養状態
- ・体重減少
- ・慢性疾患
- ・長期間の入院
- ・薬物治療
- など
高齢になると活動量が減り、筋肉量が落ちやすい傾向にあるため、フレイルに陥りやすくなるのです。
精神的要素
身体的要素だけではなく、精神的な衰弱もフレイルの原因となり得ます。
例えば、以下のようなことが挙げられます。
- ・MCI(軽度認知障害)
- ・認知症
- ・うつ病
- など
こうした精神的要素は、身体的要素に比べて目に見えにくく、早期にフレイルの原因を発見するのが難しい傾向にあります。
社会的要素
フレイルの原因となる社会的要素とは、他者との関わりが減ることを指します。
例えば、以下のようなことが挙げられます。
- ・定年退職による社会的交流機会の減少
- ・独居
- ・孤立
- ・孤食
- ・引きこもり
- ・経済的困窮
- など
外に出る機会を失ったり、他者とのコミュニケーションをとる機会が減ったりすることで、引きこもりになったり、孤立したりする高齢者は少なくありません。
社会的な交流、人との関わりが減ることで、活力を失いやすくなり、フレイルになる傾向にあります。
フレイルの主な症状
続いては、フレイルの主な症状を紹介します。
フレイルがどんな状態なのかをより明確に知ることで、自分の現状を見つめ直し、予防や対策を検討しましょう。
体重減少
高齢者になると食事量が減り、体重が減るのは一般的なことです。
しかし、半年で2kg以上の意図しない体重減少が見られるなど、一定のレベルを超えて体重が減少している場合は注意が必要です。
慢性的な栄養不足や疾患を抱えていたり、うつ病を発症していたりする可能性もあり、フレイルの初期症状であることが考えられます。
筋力低下
筋力低下も、フレイルの症状の一つです。
高齢者になると筋肉が減り、筋力が低下するのが一般的です。
特に指標とされるのが、握力です。
男性は28kg以下、女性は18kg以下となるとフレイルである可能性があるので、注意しなければいけません。
加齢に限らず、病気の影響や活動量の減少でも筋力低下につながるため、普段から運動習慣がない人は、フレイル状態になりやすい傾向にあります。
疲労感
フレイル状態になると、疲労感を覚えやすくなります。
疲労感があると活動する気力を奪われてしまい、一気にフレイルの状態を悪化させてしまう可能性があります。
また、心肺機能の低下や疾患が隠れていることで強い疲労を感じるケースもあるので、疲労感が1週間以上続くようであれば病院を受診しましょう。
歩行速度
フレイルの症状としては、歩行スピードの低下も挙げられます。
加齢に伴い運動機能が低下することは必然的なことですが、筋肉量の減少や心肺機能の低下、疾患などが原因の場合もあります。
歩行速度は身体の衰えを示す分かりやすい指標となるので、いつもと同じ距離を歩いているはずなのに、時間がかかっているなと感じたら、フレイルの初期症状かもしれません。
身体活動
身体活動が明らかに減ることも、フレイルの症状です。
抑うつ状態や意欲の低下、運動機能の低下などあらゆることが原因で、身体活動量は減少しやすくなります。
体力の衰えは仕方がないことですが、活動量が減ると筋力低下を招き、フレイル状態を悪化させてしまうため注意しましょう。
フレイル予防・対策のために意識したいポイント
ここからは、フレイルを予防・対策するために意識しておきたいポイントを紹介します。日々の生活に取り入れて、健康的な生活を送りましょう。
十分な栄養を摂取する
栄養不足はフレイルを引き起こす要因となります。
そのため、筋肉の材料となるタンパク質はもちろん、ビタミンやミネラルなどの栄養素をバランス良く摂取できるように、1日3食しっかり食べることを心がけましょう。
運動習慣を身に付ける
十分な栄養に加えて、運動習慣を身に付けることで、加齢に伴う筋肉量の減少を抑制することができます。
健康寿命を延ばし、何歳になっても自分の足でしっかり歩いて生活をするためにも、ウォーキングや筋トレなど、適度な運動を始めましょう。
積極的に社会参加をする
フレイルの予防・対策には、積極的な社会参加も有効です。
社会的交流や他者とのコミュニケーションによって脳が活性化され、外出する気力が湧き、身体活動量も増えるようになります。
ボランティアに参加したり、趣味の活動に励んだりするなど、さまざまな場所に足を運んで社会参加を心掛けましょう。
フレイル対策は生活習慣の見直しから!不足しがちな栄養は青汁で補おう
フレイルは一朝一夕で予防・対策できるものではありません。できるだけ早い時期から生活習慣を見直し、継続していくことがとても大切です。
とはいえ、十分な栄養を毎日継続して摂取するのは難しいものです。
特に高齢になるとたくさんは食べられないという方も多く、日々の食事だけで必要な栄養素を補えないことも珍しくはありません。
フレイルを予防するための栄養補給には、青汁がおすすめです。
青汁には不足しがちなビタミンやミネラル、食物繊維などが豊富に含まれています。
また、牛乳やヨーグルトに青汁粉末を溶かして飲めば、タンパク質やカルシウムも合わせて摂取することが可能です。
健康的な毎日のために十分な栄養摂取ができていないと感じる方は、青汁で不足しがちな栄養を補ってみてはいかがでしょうか。